修理店

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今時、こんなさびれた街の個人でやってるような修理店に修理品を持ち込むのはだいたいは年配者でそのほとんどがラジカセやVHSデッキの修理依頼か、故障したと持ち込んだものの、実際は壊れてなんかいなくて単なる操作間違いだったりする。 現代のたいていの人は修理に出す手間、料金、修理期間などと比較して新品を買い求める。新しい物がお金を出せばすぐに手に入る。自分も修理を生業としていながらその判断をするだろうと思う。 今日もまた、のんびりとおじいちゃんの昔話を聞きながら小型ラジオのアンテナ調整をして、音量調節はここですよ。と教えてあげた。 「さて…」 声に出してみても一人でやってる店だから誰も答える者などいない。 まだ昼休みを取るには早いが、午前中のお客さんは先ほどのおじいちゃんだけだろうか? たまにしかやって来ないお客さん相手では商売が成り立っているとは言えず、自分の生活も危ういものだが、先代から受け継いだこの修理店を好んでくれるお客さんもいるし、こんな風に自分のペースでやれる仕事も他にはないだろうからなんとなく惰性で続けている。
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