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カウンターの上にそっと置かれた家庭用ビデオカメラは最新型ではない。少なくとも15年ほど前だろうか?ちょうど録画方式がビデオテープからメモリカードに映像を記録する機種へと変換が起きた時だ。当時は最新式であったであろうこのメモリカード式の機種に内蔵メモリがあったとしても数秒から数分しか記録できないだろう。内蔵メモリの確認を家電量販店で断られるのも納得できる。この機種はすでに廃盤で部品の保存期間も過ぎている。保証されるものは何もない。
だからこそ、この女性はこの修理店にやってきたのだ。修理ではないと分かっていながら、しかし内蔵メモリを確認することができるのではないかと淡い期待を抱いて。
そもそもビデオカメラやデジタルカメラ、携帯電話などの精密機械は修理が出来ない。
精密過ぎて、本体を開けることすらままならないのだ。メーカーに送って、該当部品が交換になるか新品と交換になる。
その場合、たいてい本体の情報は初期化される。つまりデータが消去されてしまうということ。
データが消えるのは希望するところではないだろう。データだけ見ることは出来ないか?
本体が壊れていないなら出来そうだ。
試してみよう。
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