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「よし、出来た!」
「お、なかなか上手だな」
ディッシャーを使うのが初めてのわりに、きれいにすくえている。
「仕上げにこれをのせれば完成だ」
俺はアイスとグラスの隙間に、ちょこんと赤い果実をのせた。
「あ、さくらんぼ?」
その通り。
正確にはマラスキーノ・チェリーって言って、さくらんぼの砂糖漬けだ。
「ほい」
クリームソーダにのせるついでに、春香の口にもチェリーを放り込んだ。
「美味しい!」
そうだろうそうだろう。
何しろ俺の自信作だからな。
「え!? これ涼くんが作ったの!?」
「もちろんだ」
先週、春香が俺の家に遊びに来るって決まった時。
俺は春香の好きなクリームソーダを準備しておこうと思った。
でもどうせなら、市販のじゃなくて手作りがいいなって思ったんだ。
メロンソーダは簡単だった。
だけどマラスキーノ・チェリーの作り方はあんまり書いてなくて、外国のサイトまで見て調べたんだ。
まさに俺の愛の結晶!
......なんて本人に向かって押し付けがましく言えるわけもなく。
「美味しかったなら良かった」
そんな事しか言えなかったのだけど。
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