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私が使っていた部屋は今でも残っており、子供のときに買ってもらったキャラクターものの学習机やら、ベッドやらが残っている。押し入れを開けると、昔使っていたパソコンもあった。試しに起動してみた。てか起動できんのか、強いなお主。で、昔の恥ずかしい動画が山ほどあったのだ。
中にはチャット友達だった男の子に送った――意味分からねぇポエムもあった。
ランボーのように叫んでノーパソを放り投げてガトリングで撃ち殺してやりたい気分マックスだが、私の黒歴史漁りは続く。何だろうね、全身を気恥ずかしさが襲ってんだけど、抗いきれない魔力というか、ついのぞきたくなる深淵というか。いやまぁ、ただの思春期の醜態なんだけどさ。ついつい、気になっちゃう。
あぁ、昔の私はこんなことしたんだっけか、とね。
チャットで仲良くした男の子が会ってみたらカッコ悪くて、ですぐに別れて、あとで自分の罪深さに号泣したこともあったな。ひどい話だ。今の私が昔の私に会ったら、このごくつぶしが、と叩いてやりたくなる。
「………」
叩く価値もない、頭だろうけどさ。
004
昔、私が高校生の頃だったか。
友達でも何でもないけど、テレビで若い子が自殺した。私と同年代の子だ。
その子は、未来に希望を持てないので自殺しますと、自殺したらしい。両親からしたら、なんちゅー奴だと、泣きたくなるだろうが。今の私は平然としてられるだろうか。何で、私はあのとき自殺しなかったんだ。そのテレビのニュースを見て、即座にどこかの屋上に行って飛ばなかったのか――ときどき、考えたりする。
過去の動画を漁ると、仲間内でパーティーしたものが多い。何が特別なのか、すごいはしゃいで、楽しんでいた。お薬でも注射したんじゃないかしら、というくらいはしゃいでる。意味もなく壁を叩いたり、黄色い声を上げたり、メタルバンドのように頭をゆらしたり、古代の蛮族でもこんなことしないぞと呆れる。アホの極み。アホの極み乙女。
「――ぁ」
漁ってて気づいたことがある。パーティーに参加してる私。私は、周りの友達は希望にあふれた顔で夢を語ってるのに私は何も語っていない。
「あぁ、知ってるよ」
何せ、私だからな。へ、あの頃の私には夢がなかったんだよ。あの頃の私にはって、まるで今はあるみたいなこと言っちゃったか。
ない。
今も昔も、私には夢なんてなかった。
「アホか、私は」
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