第1章

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 別に、偉人の伝記にあるような決定的瞬間ではない。ビートルズのジョン・レノンがバンドを組んだほどの歴史的瞬間では絶対にないだろう。多分、私の人生からしても大した瞬間ではない。だが、それでもやたらと涙腺にくるものがあった。別に大きい小さいは関係ない、男子の股間のあれみたいに気にするもんじゃないのだ、バカめ。 「あ、ありがとう」  私は過去の自分の動画に照れながら、お礼をいう。 『えへへっ』  過去の私は、それを聞き届けたかのように笑っていた。もちろんだが聞こえていない。未来の私が、勝手にそう見えたにすぎないのだ。  でも、すごいうれしかった。これから励みになってがんばろうってなるかは怪しいが、明日くらいは自分に誇れるようにがんばろうと、少しは元気ついた。 (了)
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