失恋は、甘いチョコの味

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“俺が守ってやるよ。ずっと”  初めての出逢いで俺は徹也相手にそう言った。小さな公園のブランコのそばで。  自分よりずっと体の大きい小学生相手に一歩も引かずにいた徹也をなんとか助けてやりたくて。守ってやりたくて、生まれて初めて本気で戦った。  まあ、あの時の俺は、とてもじゃないけど戦うなんて格好いい感じではなかったけど。  でも。それでも。  大きな瞳。長い睫毛。ひまわりが咲いたような笑顔を見せたあの頃の徹也に。  あの時、あの瞬間。俺はきっと本気で恋をしたんだ。  そうなんだ。  ずっと認めるのは癪だったけど。もういいよ。観念するよ。  あれが俺の。俺にとっての初恋だったんだ。  そしてその恋は、今までずーっと続いていたんだ。  ずーっと。ずーっと。  だから。  今日、俺は徹也に失恋したんだ。 「……陸? どうした?」  徹也はやっぱりちょっと元気のない表情で、それでも俺に笑ってみせていた。 「なんでもないよ。チョコ食っちまおうぜ」 「おしっ!」  そうして俺達は2人で手近にあったベンチに座り、大きなハート型のチョコを取りだした。  失恋は、甘いチョコの味がした。  FIN.
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