13人が本棚に入れています
本棚に追加
いや、別に初音さんは立派な女子高校生なんだから、女に見えて当たり前なんだけど。
そうじゃなくて。
「付き合ってんの?」
重ねて徹也が聞く。やっぱりそうだ。声が震えてる。ほんの僅かにだけど。
「ど……どんな人?」
なんだか、それ以上徹也に口を開かせたくなくて、俺はわざと大きめの声でそんなことを聞きながら、初音さんの方に一歩近づいた。
「どんなって……うちの高校の先輩なんだけどね。バスケ部で。ほら、あたしマネージャーやってるじゃない。で、いつも話するようになって……」
「背、高い?」
俺の思惑は外れ、再び徹也が声を発する。
まあ、打ち合わせをしたわけでもなけりゃ、お前は黙ってろなんて言ったわけでもないんだから、当たり前なんだけど。
「そりゃ、バスケ部だしね。背が高くて色が浅黒くて、結構いい男なんだな、これが」
そう言って初音さんは照れたように笑った。
最初のコメントを投稿しよう!