失恋は、甘いチョコの味

10/20
前へ
/20ページ
次へ
 いや、別に初音さんは立派な女子高校生なんだから、女に見えて当たり前なんだけど。  そうじゃなくて。 「付き合ってんの?」  重ねて徹也が聞く。やっぱりそうだ。声が震えてる。ほんの僅かにだけど。 「ど……どんな人?」  なんだか、それ以上徹也に口を開かせたくなくて、俺はわざと大きめの声でそんなことを聞きながら、初音さんの方に一歩近づいた。 「どんなって……うちの高校の先輩なんだけどね。バスケ部で。ほら、あたしマネージャーやってるじゃない。で、いつも話するようになって……」 「背、高い?」  俺の思惑は外れ、再び徹也が声を発する。  まあ、打ち合わせをしたわけでもなけりゃ、お前は黙ってろなんて言ったわけでもないんだから、当たり前なんだけど。 「そりゃ、バスケ部だしね。背が高くて色が浅黒くて、結構いい男なんだな、これが」  そう言って初音さんは照れたように笑った。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加