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なんてことを思い、突然おれは無意識に首をひねった。
あれ。変だ。俺、あんまり残念だと思ってないみたいだ。
でも、なんで?
いや、ちょっと違う。
実のところ、徹也に渡されるのは嫌だなあと思ったんだよ。
ふつうに考えりゃそんなの当然。俺が貰えてないのに、あいつが貰うなんて悔しいじゃん。でも、そうじゃない。そういうんじゃなくて。
なんていうのかな。
俺、ホッとしたんだ。
自分が貰えなかったことより、徹也が貰わずに済んでることにホッとしたんだ。
って、それじゃ俺、かなり卑怯な奴みたいじゃないか。
徹也にチョコを貰って欲しくないって。それってまるで。
そうだよ。それってまるで徹也の恋が成就しないよう祈ってるみたいじゃないか。
なんで。
俺は徹也の恋を邪魔したいのか?
徹也に彼女を作って欲しくないのか?
俺は徹也を誰にも取られたくないのか?
「…………」
ちょっと待て。違う。そうじゃなくて。
えっと。
落ち着け自分。
俺は、徹也を……。
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