失恋は、甘いチョコの味

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――――――恋をしている。  徹也が。  恋をしている。  しかも俺も知っている女の人に。  そう思うだけで、俺、なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう。 「……なあ、陸。これ、今食っちまわねえか?」  帰り道、突然徹也が今朝貰ったチョコをかかげて俺に言った。 「い……今?」 「ほら、このまま持って帰ったら、からかわれそうじゃないか。家族に。お前も麻衣ちゃんに見つかったら色々面倒くさいんじゃないかと思ってさ」 「……あ、ああ……」  まあ、確かに妹に見つかったら、何々?ってな感じで質問攻めにあう可能性は大だろう。でも、初音さんから貰ったって言ったらそんな騒ぎにはならないんじゃ。  なんてことを言いかけて俺は止めた。  だって、きっと徹也だって別に家族に見つかるのが嫌だからなんて思ってるわけないんだ。  ただ、はやく処分してしまいたいだけ。  まあ、処分っつっても捨てるわけじゃなく食べるんだけど。 「……あ」  無意識に出た声に、俺は思わず後悔した。
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