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「はい。ポップコーンお待たせしました」
「ありがとうございます」
「可愛いカップルさんね。中学生?」
「……え?」
スマイル0円どころかもうちょっと取ってもいいんじゃないかと思われるような、最大級の笑顔でポップコーンを差しだした映画館の売店のお姉さんに向けられた徹也の顔が、その時、端で見ていて怖くなるほど引きつった。
「……誰が……?」
「は?」
「誰と誰がカップルだってんだー! っつーかそれ、どっちが女だと思ってその暴言吐いた!?」
これ、かなりヤバイかも。なんて思う間もなく暴言というのは売店のお姉さんじゃなく、まさに今、お前が吐いてるもののことを言うんだと突っ込みたくなる声量の叫びが徹也の口から発せられる。
でもそんな徹也についつい横から口を挟んでしまう俺は、なんなんだろう。
「んなの一目瞭然だろ」
「…………は?」
いつものパターンだとはいえ、ホント成長しないにもほどがある。
まあ、それでも、売店のお姉さんに今にも掴みかからんとしていた徹也のターゲットが瞬時に俺の方に向けられたので、いちおうこれも人助けなのかも、なんてところだけで自分を慰めてみる今日この頃。
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