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「てめー! 陸! なんだそれ!? 何が一目瞭然だ!!」
「落ち着け! テツ! っつーか売店で暴れるな! 周りの視線に気付け!」
慌てて暴れる徹也を羽交い締めにして、俺は売店の前から退いた。
まったく、これで何度目だろう。徹也が俺と一緒にいる時、女の子に間違われるのは。
久喜徹也。
そうなのだ。名前だけ聞いたら、いかにも男の子でしかあり得ないような名前のくせに、こいつはもうそろそろ高校生になろうかというこの時期になってもまだ女の子に間違われる。
しかもその時には何故か謀ったように俺が隣にいるのだ。
俺の勘違いかと思って、この間友人の多岐に聞いたら、不思議と多岐と一緒の時は別に間違われたりはしないらしい。
まったく納得いかない。いったいそれってどういうことなんだ。
俺がそう尋ねると、多岐はニヤリと笑って「そりゃ、隣にいるのがお前だからだろ」と意味深な目を向け、それ以上説明してくれなかった。
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