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「……頼みって?」
「ちょっと…ね。とりあえずあがって」
勝手知ったる他人の家。今まで何十回となくあがった家なので、俺も徹也も遠慮というものはもうないに等しい。
初音さんに促されるまま家に上がり込んだ俺達はそのまま奥のキッチンへと通された。
「これ、チョコレート?」
キッチンにはいったとたん、そう言いながら徹也が鼻をひくつかせた。確かにキッチン内にはチョコとバニラエッセンスの香りが充満している。
どうやら手作りチョコを作っていたらしいのだ。初音さんは。
「そう。手作りチョコなんて初めてだからさ。あんた達に味見してもらおうと思って」
「毒味の間違いじゃないの?」
「何か言ったかな? テッちゃん?」
「いえ、何も」
初音さんが悪魔の微笑みを見せたので、隣で徹也が震え上がる。
「にしても何で今頃手作りチョコ?」
俺の疑問の声に、初音さんは心底呆れたといった顔をしてため息をついた。
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