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「あのねえ……いくらあんた達自身には縁のない行事だとしても、世の中の常識くらい覚えててよ」
「……は?」
「もうすぐじゃない。2月14日」
「…………!?」
思いだした。2月14日。聖バレンタインデー。
いや、忘れてたわけじゃないんだけど。まさか、その為にこのハッスル姉ちゃんが手製でチョコを作るなんて想像出来なくて。
っつーか、俺達には縁のない行事って、それ随分失礼じゃないですか? お姉さん。一応、俺、去年は3つほど貰いましたけど。
なんてことはどうでもいい。チョコを手作りするってことは。それってつまり。
「……本命、いるの?」
俺の疑問を代弁するかのように徹也がポツリと呟いた。
その声になんだかわからない違和感を感じ、俺は思わず横目で徹也を盗み見る。
こいつ、今、声が震えてなかったか?
「……いちゃ悪い?」
初音さんは徹也の変化には気付かなかったのか、ほんのりと頬を染めて睨むように徹也を見ていた。
何故か思わずドキッとした。
一瞬、初音さんが女に見えたからだ。
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