海まで。

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海まで。

早朝、まだ暗い時刻。 目覚ましが無くても身体が起きる。 隣に眠る淳を起こさないようにと、静かにベッドから抜け出すそのクセにその髪へ触れてしまう。そして静かに。 "おはよ、行ってくんね" と声をかけてしまう俺。 スヤスヤと眠る淳。 毎朝思う。淳、今日も好きだぞって。 季節は秋。 ウェットスーツもシーガルだと寒くなって来た。 (シーガル:半袖のウエットスーツ) 少し迷うが俺はシーガルを手に取る。 腰まで履くと上はパーカーを着た。 玄関にはサーフボードの収容スペースがある。 3本のショートボードと1本のロングボード スタンドアップパドルボード1本。 俺はシングルフィン、グリーンのショートボードを取りリーシュコードをボードに巻きつけた。 玄関を静かに開ける。 ひんやりとした外気がすぅーーっと入って来て 思わずギュっと身を縮めた。 家の鍵を閉めその鍵は庭の鉢植えの下に入れ、サーフボード片手に自転車にまたがった。 暗い海までの道。 砂利道だってお手の物。 鼻歌まじりに海まで行く。
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