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「はぁぁ、何が何だかよくわからないよ。」
ヒンニィはレオヤの背に乗り上空を飛びながら、独り言を呟く。
艶やかなクリーム色の獣毛のレオヤの首に両手を回しながら、もふもふとしたたてがみの部分に顔を埋める。
レオヤの人間よりも少し高めの体温が温かい。
行方不明になった兄の消息を探しに行った龍口の谷で崖から落ち、身知らぬ青年に助けてもらった。
助けてもらったのはいいけれど、川に飛び込み溺れそうになったところを人工呼吸され、図らずも初めて唇を奪われてしまった。
あの時はぐったりとしていてあまり深く考えていなかったけれど、こうしてひとり冷静な状況になると急に意識してしまい途端に恥ずかしさが襲ってくる。
初めての口付けは、好きな人とロマンチックな場所で。
そんな漠然とした妄想を抱いていた、現実の色恋沙汰とは縁遠いヒンニィは この突然の出来事に若干パニックに陥っていた。
レオヤのたてがみに埋めた顔をブンブンと横に振りながら、さっきの出来事を頭から払拭しようとする。
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