ヒンニィとの再会

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しかし、大声を荒げる時は今のようにおてんばなヒンニィを戒める時だけで、普段は穏やかで誰にでも優しく良く気が効くので城内にはナリアのファンが多かった。 特に男子ばかりの騎士団からは絶大な人気を誇っていたが、本人はまったく気がつく事もなく、日々ヒンニィの世話を焼いていた。 ナリアがほっと胸をなでおろしたのもつかの間、すぐにヒンニィがずぶ濡れである事に気が付いて驚きの声をあげる。 「ヒンニィ様、ずぶ濡れではないですか?このままではお風邪を召されます!言い訳は後でたっぷり聞きます故、まずは湯殿へ向かいましょう!」 そう言うとヒンニィに有無を言わせず、右手を掴んでいそいそと城内へ入り、お風呂場へと連れて行った。 「一体どうしてこんなにずぶ濡れになったのです?」 城内を歩きながら、ナリアがヒンニィに尋ねる。 「えっとね、崖から落ちて川に落ちちゃったの。」 「崖から落ちた?」 急ぎ足だったナリアの足取りが急に止まり、ヒンニィの方を振り返って体全体を触り始めた。
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