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「崖から落ちただなんて!お怪我はございませんか?」
ナリアが心配そうに怪我をしていないかヒンニィを見回す。
「大丈夫よ、親切な人に助けてもらったから。」
ヒンニィはそう言って言葉の続きをつぐむ。
溺れそうになったところを人工呼吸して助けてもらったなどと言ったらナリアが卒倒して倒れてしまうかもしれないと思ったからだ。
ナリアは美しい美貌の持ち主で城内の男子に絶大な人気を誇っているが、10歳からずっとヒンニィのお世話をしてきたのでヒンニィ同様に色恋沙汰に疎く、ましてや一国の姫君が見知らぬ男性に口づけされたと知ったらどうなるかわかったものではない。
「まぁ、なんと親切な方がいらしたのですね。後でこっそりお礼をしなければなりませんね。」
ヒンニィの心配をよそにナリアは深追いせず、ヒンニィが無事である事に安堵しているようだった。
しばらく城内を歩き湯殿に着いた2人だったが、脱衣所にヒンニィを残しナリアが浴場へ行き湯加減などを確かめた。
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