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「湯加減もちょうどいいみたいですので、ヒンニィ様はお風呂に入って温まっていてくださいませ。その間に着替えを持って参りますわね。」
そう言うとナリアは侍女服の紺のワンピースの裾を翻して颯爽と脱衣所を後にした。
ナリアが去った脱衣所でヒンニィは身支度をして、浴場へと向かう。
大理石をくり抜いた大きな湯船にひとりで浸かり、思わず「あぁぁ気持ちいい~」と独り言を呟いてしまう。
続いて手で柄杓を作り、パシャパシャと自分の顔にお湯をかける。
目を閉じた瞬間、再び青年の顔が浮かんできて、ヒンニィは驚いて目を見開く。
「どうして頭から離れないんだろ…。」
そう呟いてブクブグと顔の半分まで湯船に沈んでいく。
湯船に沈みながらも、ヒンニィの小さな胸はトクントクンと脈を打ち続けている。
ヒンニィは観念して考えるのをやめて、しばらくそうやって湯船に浸かっていると、脱衣所からナリアが声をかけかけてきた。
「ヒンニィ様~、お着替えお持ちしました~。」
ナリアの声で我に返ったヒンニィは湯船を後にした。
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