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騎士団の必死の捜索も虚しくヒルフィの消息が一向に掴めないのに業を煮やし、ヒンニィは自ら兄の捜索するべくこっそりと城を抜け出して、この地に立っていた。
騎士団は現在、流された事を想定して川の下流付近を中心に捜索を行っているため、今ここにはヒンニィと彼女が移動するのに乗ってきた2メートル程のライオンに鳥の羽が生えた不思議な姿態の妖獣の姿だけであった。
「レオヤはここで待っててね。」
ヒンニィはつり橋から崖を下って何か手がかりがないか探すつもりでいたので、そのレオヤと呼ばれた妖獣の頭を撫でながらこの場所で待機するように指示する。
見た目とは裏腹に、猫の様にぐるぐると喉を鳴らしてヒンニィに顔をすり寄せ、まるでヒンニィを心配しているかの様な甘えた仕草を見せる。
レオヤは小さい頃からヒンニィに飼育されてきたので、彼女によく懐いていた。
ヒンニィはよし、と気合を入れ直し、動きやすいように長い黒髪を束ねて頭上にお団子状にまとめ上げた。
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