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湯船を後にしたヒンニィは脱衣所の奥にあるドレッサーの前に座り、ナリアに黒く長い髪をタオルドライしてもらい始めた。
「さ、ヒンニィ様。お城を抜け出した理由を聞きましょうかね。」
ナリアが大きな鏡越しにヒンニィの顔を覗き込む。
ヒンニィはバツの悪そうに肩をすくめる。
「まぁ、大方ヒルフィ様を探しに龍口の谷へと向かったのでしょうけど。」
ヒンニィが話す前に、ナリアはため息をつきながらタオルドライを続ける。
「よくわかったわね?」
ヒンニィが関心して鏡越しではなく振り返って直接ナリアの顔を覗き込む。
「まったく。何年一緒に過ごしてきたとお思いで?!産まれてから16年間ずっとですわよ。ヒンニィ様の事は手に取るようにわかります。」
自分に振り返ったままのヒンニィの頭をパサパサとタオルドライする手を止める事なくナリアは話し続ける。
「さすれば、ヒンニィ様も私の気持ちもお分かりでしょう?もう、誰にも何も告げないなんて、心配で心配で生きた心地がしませんでしたわ。」
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