ヒンニィとの再会

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「更に言えば、いずれマリアテレザ国の王妃になられるご予定なのですから。」 ナリアの言葉にヒンニィの顔が一気に曇る。 「…それはわかってるけどさ。」 ヒンニィが視線を落として地面を見つめる。 ここはマリアゴルド国。対してナリアが口にしたマリアテレザ国。この二つの国は似ているその名が示す通り、かつては同じ国であった。しかし200年ほど前に騎士団が反乱を起こし、領土を奪い合う戦争へと発展した。その結果、国王軍がマリアゴルド国を、騎士団軍がマリアテレザ国を治めるという事で決着し終戦を迎えた。 しかし、領土は平等にはいかず、マリアゴルド国は緑豊かな土地を、マリアテレザ国は鉱山が連なる土地をという風に分かれてしまった。 そんな両国が友好関係を築いていけるよう、時々王家同士で婚姻関係を結ぶ事があった。 今回マリアゴルド国には4つ年上の兄ヒルフィ、ヒンニィ、6つ年下の弟ヒルダのきょうだいが、マリアテレザ国にはヒルフィと同い年の兄と2つ下の弟がと、ヒンニィ以外全員男子が産まれてしまった為に、必然的にヒンニィが嫁ぐ暗黙の了解が生じていた。
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