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肩越しにナリアの体温と優しさがじんわりと伝わってきて、その気遣いにヒンニィは思わず目頭が熱くなる。
「ありがとね、ナリア。…とりあえず、心配かけるような事はもうしないから。」
「約束ですわよ。ヒンニィ様に万が一の事があったら私は生きてはいけませんから。さ、早く髪を乾かして明日のドレスの試着に行きましょう。」
ナリアはそう言うと、ヒンニィの艶やかな黒髪に櫛を通し始めた。
*****
相変わらずヒルフィの行方がわからないまま4日目を迎えた翌日。
城を囲むたくさんの森の木々のそこかしこで鳥たちが一斉に競い合いながら美声を轟かせている爽やかな午前中。
ヒンニィは衣装室の隣の部屋で、ピンクのサテン生地のふんわりとしたパフスリーブのワンピースを着させられていた。
昨日の動きやすいショートパンツに編み上げのショートブーツが主の普段着と違い、ドレスを纏うと王女の品格が漂っているようだった。
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