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「アルストレイル、何でここにいるの?」
ナリアが不思議そうに声をかける。
アルストレイルは騎士団副団長で、今はマリアテレザ国の王子が来る事で城内警備にあたっているはずだった。
「それがな、マリアテレザの王子がもう城に到着したみたいでな。出迎えの呼び出しに来たんだ。」
アルストレイルは二つ年上のナリアにはもちろんヒンニィにも敬語を使う事はなかった。
両親が城勤めで産まれた時から城内に慣れ親しみヒルフィと幼馴染みのように育ち、堅苦しい事を苦手に思うヒルフィは敬語を使うのを嫌っており、こうして公ではない場所では口語で話して欲しいと伝えていた。
ヒンニィも兄と同様にそうしており、もう1人の兄の様な存在で親しみをもって接していた。
「うそ!」
ヒンニィが慌てて座っていた椅子から立ち上がろうとするも、食べかけのサンドイッチを名残惜しそうに離そうとしない。
それに気が付いたアルストレイルが穏やかに微笑む。
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