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サンドイッチを食べ終えたヒンニィはアルストレイルにエスコートされてマリアテレザ国の王子が待つ来賓室へと向かう。
慣れないヒール靴のかかとの音が城内の廊下に響き渡り、まるで今のヒンニィの心臓の音を表現しているかの様だった。
しばらく歩き、来賓室の前にたどり着きヒンニィは立ち止まって大きく息を吸って深呼吸をする。
「大丈夫そうなら、ノックするぞ。」
ナリア同様、ヒンニィがレイの事を余り快くなく思っている事に勘付いているアルストレイルは心配そうにヒンニィの顔を覗き込む。
「うん、大丈夫。」
ヒンニィが翡翠色の瞳でしっかりと見つめ返してきたのを確認して、アルストレイルは来賓室の厚いドアをノックする。
「お待たせいたしました。王女ヒンニィ様が到着致しました。」
アルストレイルが響く声でドアの向こう側へと伺いを立てる。
すると間を置かずドアの向こうから「どうぞ。」と声がして開閉を促される。
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