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ヒンニィを微笑み続けながら眺めて、手は離さないままスッと立ち上がって小さく囁いた。
「今日のドレス姿もかわいいね。」
昨日と同じ様に穏やかに囁かれて、ヒンニィは全身が赤くなってしまう。
どうしていいのか分からず、ヒンニィはただただ視線をカーペットに移し俯くしかなかった。
再びカイが何かを話しかけようとした時、来賓室のドアがノックされた。
全員が視線をドアの方へと向けると、小柄で小さなメガネをかけた少し神経質そうな男性が室内へと入って来て、カイへと深々とお辞儀をした。
「カイ王子、ようこそマリアゴルド国へおいで下さいました。私は魔道師長のシラストルと申します。王に謁見する前に城内のご案内を致します。」
そう告げるとシラストルはカイを来賓室から出る様に促した。
カイは名残惜しそうにヒンニィの右手を解放すると、ヒンニィに小さく目配せをして来賓室を後にした。
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