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そして他の団員に指示を出し、二手に分かれて邪するものを取り囲む様な配置に回り込む。
その間ヒンニィはひとり静かに瞳を閉じ、手を合わせて呪文を唱え続けていた。
やがてヒンニィの合わされた手が青白く輝き出し、漏れた光の粒が手のひらを中心にそれぞれ円を描く様に高速で回り始めた。
その様子はまるでヒンニィが惑星の中心でその周りを回る衛星の様だった。
呪文を唱え終えたヒンニィが、ゆっくりと目を開きながら合わせていた手のひらを離していく。
すると、その手の間から青白く透明な球状の塊が形成されていく。
「アルストレイル、準備出来たわ!」
ヒンニィが大声で邪するものの動きを食い止めているアルストレイルへと声をかける。
邪するものの弱点の牙を剣で抑えていたアルストレイルが振り返り、返事をする。
「あとは頼んだ、姫様!」
そう言うと邪するものを抑えていた剣を力強く振り、衝撃を与えた。
邪するものは攻撃に耐えきれず唸り声をあげて後ずさりした。
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