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「やだ。なんでまたカイ様が頭に浮かんでくるんだろ。」
ヒンニィは不思議に思いながらも、長い移動を終えて無事に城へと戻った。
*****
戻るや否やナリアが待ち構えており、痛いくらいの抱擁の後、すぐさま昼間にカイを出迎えた時のドレスに着替えさせられて晩餐会へと出席した。
長いテーブルの先に、カイが座っている。
昨日と全然印象が違うな。とヒンニィは思いながら、父である国王からの質問などに優雅に答えている様を、ただただジーッと見つめてしまう。
そんなヒンニィの視線に気がついたカイがチラリとヒンニィの方を見てダークブラウンの目を伏せて微笑んだ。
一瞬でヒンニィの頬が赤く染まり、体温がぐっと上がる。
ヒンニィはどうしていいのか分からず視線をカイから逸らし、目の前にあったロールパンにたっぷりとママレードジャムを付けて口いっぱいに頬張った。
全身、甘い香りと気持ちに包まれていく。
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