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結局、ヒンニィはカイと会話をする事もなく晩餐会は滞りなく終了した。
普段だと晩餐会の後に舞踏会も行われるのだが、ヒルフィの消息がまだ不明な為、自粛という事でそのまますべての会はお開きになった。
「はぁぁ、なんだか疲れたなぁ。」
ヒンニィは小さく呟きながら、背伸びをした。
疲れたならまっすぐに晩餐会のあった大広間から自室へ戻ればいいのに、ゆっくり外の空気を吸いたいと思い、ローズガーデンへと足を運ぶ。
ローズガーデンはお城に隣接されており、その名の通り様々な種類のバラが植えられた公園の様な場所で季節毎に彩どりのバラが咲き誇っていた。
ヒンニィは月明かりを頼りにローズガーデンの中心部にあるベンチへと向かう。
ベンチの上には屋根がかかり、屋根の隙間から雲ひとつない綺麗な夜空が透かして見え、屋根に伝う小さな白いバラを淡く照らしていた。
ヒンニィはベンチに腰掛け、そのままベンチの手すりに体を預けて横たわった。
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