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次に一体何が起こるのか?
ヒンニィは想像も出来ずにただただギュッと目を瞑り続けている。
すると、カイのヒンニィの下唇に触れていた指がそっと離されたと同時に耳元にふと吐息がかかった。
「…君を呼んでる声がする。」
カイに吐息交じりに優しく囁かれ、驚いて瞑っていた目を開いて辺りを見回して耳をすませる。
遠くから微かにナリアがヒンニィを呼ぶ声が聞こえてきた。
「ナリアが呼んでる。部屋に戻らなきゃ。」
ヒンニィがそう呟いてベンチから立ち上がろうとしたその瞬間、カイがヒンニィの細い腕を掴んで自分の方へと引き寄せて、チュッと小さな音を立ててヒンニィのおでこにキスをした。
「おやすみ、ヒンニィ。」
カイはいたずらっぽく笑いながら、掴んでいた腕を離してヒンニィを解放し、ヒラヒラと手を振りながらその場から去って行った。
一瞬の出来事で何が起こったのかわからなかったが、後々キスされたと理解したヒンニィは顔を真っ赤にしながらおでこを抑えて戸惑い続けた。
そんなヒンニィを、月明かりが優しく照らしていた。
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