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マリアゴルド国訪問から一夜経った翌日。
自国マリアテレザに戻ったカイは、城へ到着するとすぐに一番奥にある部屋を目指して歩みを進める。
部屋の前に立ち、重いドアをノックして部屋へと入って行く。
「ただいまマリアゴルド国より戻りました、父さん。」
カイが神妙な眼差しで、ベッドに横たわったままの国王へと話しかける。
しかし国王は眉尻すら動かす事なく寝入っている。
まるで陶器の様な生気のない白い顔を見ていると、息をしているのかすら怪しく思えてきてしまう。
父である国王が原因不明の病に倒れてから約3年が経とうとしているが、病状は一向に良くなる気配はない。
父が倒れてからずっと兄のレイが国政を取り仕切っており大きな支障をきたす事はないが、このまま父が帰らぬ人となり忘れ去られた存在になってしまわないだろうかとカイは不安に感じていた。
「父さん…。」
カイが再び呼びかけるも、父からの反応はなかった。
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