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ジタバタと暴れるヒンニィをなだめようと、青年は抱きかかえている左腕の力を強めながらお団子の解けたヒンニィの頭にポスッと自分の顎を乗せて動きを押さえようとした。
「ちょっと、そんなに暴れないで。バランスを崩して落ちちゃうでしょ。」
あくまでも落ち着いている青年の言葉にヒンニィはハッとして、動くのをやめる。
動くのをやめたヒンニィの頭から顎を離して、青年が再びヒンニィの顔を覗き込む。
そのダークブラウンの澄んだ瞳に、やはり吸い込まれそうになる。
嘘をついてその場を取り繕っても仕方ないと思ったヒンニィは正直に暴れだした理由を小さな声で伝える。
「ごめんなさい。その…家族以外の男性がこんなに近くにいる事が初めてで、驚いてしまって。」
そう伝えながら、無意識のうちに上目遣いになりながら自分のすぐ目の前の青年の様子を伺った。
2人の視線が重なる。
飄々としていた青年の表情がほんの少し赤くなり、口元が緩んだ。
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