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火事場の女
SNSを覗けば日々愛らしい動物の動画や、事件事故、衝撃映像の動画が拡散されてくる。
どれも「いいね」なんて評価され、動画を上げた者はちょっとした有名人になれる。
しかし、自分のペットならともかくとして、衝撃映像なんて早々撮れるものじゃない。
俺はそんな動画を羨みながら、自分も「いいね」と拡散を繰り返す。
俺も、注目されるような動画を撮りたい。
そんな事を思いながら夜道を一人歩いていると、まるで神様が俺の願いを聞き入れてくれたかのように、遠くから複数のサイレンが聞こえてきた。
サイレンは徐々に大きく、近づいてくるのがわかる。
俺は立ち止まり振り返って見ると、暗い夜道の向こうから赤い光がやって来た。
俺は胸が高鳴り、無意識にスマホを握り締めた。
現われたのは三台もの消防車で、俺の横を猛スピードで通り過ぎた。
消防車の行く先には微かに空が赤く、煙が見えた。
気づくと俺はその方角に向かって走り出していた。
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