火事場の女

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けれど、不幸は突然やって来た。 それは、あの火事から一か月後。 夜中、家族が寝静まった頃。 俺はベッドで横になりながらスマホをいじっていた。 時間は深夜一時過ぎ。 一階の電話が鳴りだした。 こんな夜中に誰だよ。 そう思いながらも、家族の誰かが出るだろうと俺は無視をしていた。 だが、一向に電話は鳴りやまない。 家族の誰も出ようとはしない。 何で、出ないんだよ! 苛立ちながら、俺はわざわざ一階に下りて電話に出た。 「もしもし?」 相手に返答はなく、無言だった。 だが相手は切る事もせず、俺は『もしもし?』と繰り返した。 すぐに切ればよかったものの、俺は気になり相手の応答を待っていた。 それでも無言は続き、俺は電話を切ろうとした。 すると、受話器の向こうで微かに音がした。 パチパチという、木が燃える時の音。 あの夜に聞いた音だった。 そして、受話器から焦げ臭さを感じたかと思えば、それは俺の家の二階からだった。 いつの間にか薄らと白い煙が、二階から下りて来ていた。 俺は、慌てて電話を切り二階に走った。 ドアを開けると、そこにはほんの少し前まで静かで何事もなかった部屋に赤い炎と白い煙が広がっていた。 俺は、慌てて一階に下りた。 両親と幼い妹を叩き起こし、家の外に飛び出した。
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