撮影

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私は今日も影を連れ近所の公園に来ている。 中学を境に変わってしまったといってもこの時間は変わっていない。 正直、こんな風習変えてもよかった。 ただ、「双子なんだからお互いに支えあっていきなさい。」と、母が言っていたのを実行しなければならない。 影が嫌がっても私はコレをやめない。一緒に歩んでいかなくてはいけないのだ。 しかしそんなこと影は覚えていないだろう。 影は習慣付いたものをやることはできても、一度だけ見たもの聞いたものは大体忘れる。 公園での習慣は影が私を撮ること。 風景でも、ほかに遊んでいる子供でも、被写体なんていくらでもあるのになぜ私なのか。 あのカメラは、高校進学記念で母が影にプレゼントしたビデオカメラだ。 希望した理由は”一度見たものを忘れないように”。 バカがバカなり考えて、知恵を振り絞った結果だろう。 そんなビデオカメラは影によって厳重に保管、大切に使用されていた。 私がそのビデオカメラの動画で知っているデータは一番初めのたった六秒の動画。 「ちゃんと撮れてるー?」 「映ってるよ。」 「あとでみせてね!」 「いや。」 文字に起こせばたった4行の会話。 液晶パネルの横にもうひとつある小さな広範囲に首を振れるレンズで、ワイプ動画も一緒にとることができるため、大きい画面に明るく振舞う私と、小さい画面に無表情な影が映っている。 なぜそんなカメラにしたのか、私には意味がわからない。 そんな機能、どう日常的に使うのか。 まったくわからない。 やはりバカはバカなのか。
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