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「そ、そうだよな? これはこれで自慢だよな? 間違いなくレジェンドになるよな!?」
「そうか……なら、緊張感を醸し出した僕あの演技もなかなかのものだったってことだね!」
すると、僕の慰めの言葉を聞いた辺田と那佐は、パァっと顔色を明るくして一瞬にして立ち直る。
「おおーし! これで俺も有名人だっ! おおーい! おまえら、このニュース見たか!? ぢつはあの俺達が作ったUFO動画がもとで逮捕に繋がったんだぜ?」
「僕って役者に向いてるのかな? いや、役者より心霊動画ビジネスに参入するってのもいいな……ねえねえ、君達! 動画撮るのに興味はない?」
立ち直るや、一転、辺田は自慢話をしにさっそくクラスメイト達の輪の中へ突入して行き、驕り高ぶった那佐の方はまたも皮算用に早々出演女優のスカウトをしいている。
なんか、二人とも微妙に偽動画作ったことがバレそうな話ぶりではあるが……。
ともかくも、本物のUFOでなくたって別にかまわないのだ。けっきょくは他人に自慢できて、チヤホヤされればなんだってよかったのである。
他人からチヤホヤされたい――裏を返せば、他人から認められたい……いわゆる〝他者承認欲求〟というやつであろう。
だが、それについて僕は別に批判しようとは思わない。
動画をUPする者には…いや、動画に限らず、SNSに画像を上げたり、自分の意見や日々の出来事を書き込む人々には、多かれ少なかれそうした感情があるのだろう。
人間とは、そのようなものなのだ。
「ねえねえ、なんか辺田くんが話してるの聞こえたんだけど、衿家くん達が犯人の逮捕に関わったってほんと?」
「ああ、まあね。関わったというかなんというか……そのきっかけになったのは確かかな?」
自慢げに語る辺田の大声を拾い、興味津々な様子で尋ねてくるとなりの席のまあまあカワイイ女子に、僕もやはり悪い気はせず、照れ笑いを浮かべながら控え目に消極的な自慢をしてみせた。
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