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一気に詰まらせていた言葉をはき出すと思いのほか喉は乾き、グラスに残っていたビールを一気に飲み干した。
グラスをテーブルに置く音と同時に、高柳の声が俺に届く。
「俺も凛子も、お前と斎藤さんはうまくいくと思っていた。いや、うまくいってほしかった」
俺にしか届かないくらいの小さな声で、でもハッキリと言われた。
回りくどくなくコイツらしいと思い、つい笑ってしまう。
「お前にとってはもう笑い話なのか」
俺の笑いに勘違いした高柳は、怒りを含んだトーンで言葉を発する。
そんなコイツを見てから、盛大にため息をつきながらテーブルに寄せていた身体を思い切り背もたれに預けた。
「……まっさかー。好きだよ、美子ちゃん。ホント、かわいいよね。本当に本当にいい子だと思ってる。だから……ずるずると関係を続けて愛人とか……そんな立ち位置にしたくなかったんだよ」
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