甘く熱い余韻と切ない現実

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「臆病者」 「うっ……」 「意気地なし、腰抜け、小心者、腑抜け」 「な、なんだよっ。そんなに悪口を連呼しなくてもいいだろ……!」 高柳に立て続けに悪口を言われ、苛立ったけれど全てが的を得ていて胸に突き刺さる。 そんな俺に高柳は、フンッと怒りを含んだ眼で睨んできた。 「ここに凛子や斎藤さんがいれば間違いなくそう言っていただろうなと思ってな。彼女たちの代弁をしただけだ」 「……」 そう言われればなにも言い返すことはできない。 口ごもってしまった俺の前に店員が運んできた追加したビールが置かれたけれど、それを手にすることもできなかった。 「ただ、どんな選択を選ぼうともお前の人生だ。俺はもうこれ以上何も言わないが、後悔だけはしない決断をしろとだけは言っておく。……一応、お前とはこれからも付き合いは続くだろうから、会う度に沈んだ顔は見たくない」
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