涙の数だけ恋しくて

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身重の親友にそんな心配をかけさせて申し訳なく感じ、私は笑顔で首を横に振り、手を上下に揺らせて大丈夫な振りをした。 「やだ、もー。まだこれくらいで体力消耗するような歳じゃないってば。日付が変わるまでの残業だってまだまだ平気よー」 「そんなにやらなくても……。でも、本当に今日は早く会社を出てちょっとでもリフレッシュした方がいいわ。うん、絶対にその方がいいと思う!」 強くリフレッシュすることを望まれ、その勢いに圧倒される私。 でも、できれば今日中に創立パーティーまでのスケジュールのチェックを終わらせたいから、今すぐに帰れないのがリアルな現状だった。 「ありがと。じゃあ、このチェックだけしたら帰ろっかな」 「それなら私も他の仕事を手伝うわ!」 「有難いけど……身体は大丈夫なの?」 「うん、今日はだいぶ良好みたい。ありがとう」 凛子は早く退社するという私の言葉を聞いて心底安心して晴れやかな表情になり、喜んで私の分の仕事も請け負ってくれた。
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