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振り返ると、高校生だった頃に見た彼の面影はもう随分と残っていなくて、黙って目と目を合わせていれば、本当に私好みの顔になったなと感嘆のため息をはいてしまいそうになる。
でも、その顔はすぐに緩くだらしない表情に変わるけれど。
「んっ? やっとその気になってくれた? 俺としては藤堂退治の作戦を無事成功させたんだから、その打ち上げをしないかなー? という軽い気持ちだったんだけど。ほら、高柳はあのとおり奥さんにべったりだから、一人打ち上げも寂しいなーて」
「まぁ……たしかにそうね」
つい先ほど、凛子と高柳部長にひっつき虫のように取り付いていた藤堂という害虫を退治したばかりだ。
そしてそれは、信じられないけれどこの一条も役目を担っていたという。
しかもあのやり取りを見れば、高柳部長から全幅の信頼を寄せられていたという感じだった。
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