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あれだけひねくれた考えをする藤堂のことだ。
もしかしたら、待ち伏せでもして凛子に危害を加えることもあり得るかもしれない。
もしそうなれば高柳部長が般若のように怒り狂うだろうけれど、それを阻止できるのなら、事前に出来たほうがいいに決まっている。
「しまった……凛子を守るのは私の役目なのに先を越されたわ……!」
一条息子を褒める以前に、自分の失態にハンカチを噛みそうになる。
でも、今回みたいに頭が回り、親友を守るという同じ立場にいる一条のことを少しは信頼できる人物なのかもしれない……と、そう思い始めていた。
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そして、約ニ十分ほどして人もまばらになってきたオフィスのエントランスホールに一台のタクシーが停まる。
後部座席の扉が開き、一条が私を満面の笑みで手招きをしていた。
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