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-青いマフラーをした男の人-
今でも私は、青色のマフラーを使っている。
もう、2、3年くらい経つだろうか。
お気に入りって訳でもないが、気にってはいる。
編まれた青色のマフラーは、一部、糸が乱れていた。
その部分を私は、ハサミできれいに、切った。
もし、いざと返すことになった時に、乱れたままも失礼ではないかと思ったからだ。
寒い外は、冷たい空気で、冷たい風が吹いている。
冷え切った部屋を暖房が暖かしてくれ、あまり寒さは感じない。
ガチャガチャとテレビの音は流れており、耳には、薄っすらと入ってはいる。
私は、高校3年生の12月を迎えようとしていた。
「行ってきます」と自転車に跨り、いつも通りに、登校した。
はあはあと息がはっきりと白い。
「手袋…」と呟く。寒い。
そんな学校へと登校していた途中である。
自転車のペダルを漕ぐ足が自動的にゆっくりになった。
男の人とすれ違った。
首には、青色のマフラーが巻かれていた。
だから、何って訳でもないが、青色のマフラーをしている人なんて、彼以外にたくさんいる。
でも、青色のマフラーが首に巻かれている人を見ると、気になってしまう。
あの時の彼ではないかと。
「…」
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