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「ねえ、魁くんは好きな子っている?」
いないって言ってと祈りながら、恐る恐る訊いたのに。
「……いるよ」
照れた表情を見せて、魁くんは俯いた。
「いるんだ」
自分の声にガッカリした気持ちが出てしまって、焦った私は誤魔化すように歩き出そうとした。
「ふーちゃんだよ!」
「え?」
振り向くと、魁くんは真っ赤な顔をしていた。
「ずっとふーちゃんが好きだった。僕と付き合ってくれませんか?」
傘を放り投げて抱きついた私を、魁くんはビックリしながらも受け止めてくれて。
あの時と同じように、優しい雨と魁くんの笑い声が私を包んでくれた。
END
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