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第1章 小動物は対象外
「リュウ。…流真。起きれる?そろそろ…、時間だよ。目ぇ、開けて」
心地よい初秋の朝。やっと夏の気配も過ぎ去って、朝方はだいぶ涼しく感じられる。少し前までの寝苦しさが嘘のように、深く、深く眠りの底に引きずりこまれていく。そう、今が一番いい時季。気絶するほどくったりと、何も考えずに。いつまでもずっと寝ていられる時間…。
「…リュウ!いい加減起きなよ。何のためにわたしが朝からこうやって…、こっちも仕事あんだから。朝ごはん作ったよ。お味噌汁冷めちゃう」
俺はふかふかの綿毛布を頭まで被り、ひばりみたいなぴーちく高いさえずり声に背中を向けた。そりゃ、明日は朝早めに研究室に顔出したいから声かけて起こしてくれって頼んだのは俺の方だけどさ。
「…誰も頼んでない。味噌汁作れ、…とか」
今一体何時かはっきりとはわからないけど。半睡状態のぼやけた脳で漠然と考える。こいつも始業前ってんなら当然それなりの早朝のはず。なのに家に上がりこんで俺んちのキッチンを勝手に使って朝飯作るとか。何時に起きて出てきたんだ、自分の家?
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