歌番号9

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「町子はいいなー美人でスタイルもいいし」 「いやだ、そんな事ないよ」 と首を振りながら否定をするけど、心の中では、そんなのわかってるし、言われて固定する馬鹿はいないわよ。返事のしようもない面倒くさい事わざわざ言うかね? あなたの劣等感を私に言う事で何か特でもするのかしらと、いつも思う。 小さい時から、かわいいとか美人とか言われて、なんでも欲しい物は親が買ってくれた。 女子大時代の合コンでは、男の子の見る目が他の子に対してと私には違うし、隙を見れば全員が私を誘ってきた。 まあ、参加した女の子の中で私ほど綺麗な子はいなかったけど。 就職活動なてんちょろいもので、面接で一発合格。 会社の机の引き出しに何かプレゼントが入っていると思って包みをあけたらハリーウィンストンのピアスが入っていたり、頼んでもいないのにプレゼントをよくもらう。 街を歩けば、必ず声をかけられる。ショーウィンドウでチラ見しても、自分の美しさにうっとりしちゃう。 あの鏡を除いては。 あの鏡とは、10年前のある日パリのアンティークショップのウィンドウに飾られた素敵な手鏡。店に入ると、魔女のような鉤鼻のいぼと皺だらけの老女の主人が出てきた。image=507729340.jpg
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