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「!?」
(あれ? 今までの事をなにも覚えてない?)
いま、自分の目の前にいる、「零」は、さっきまでの出来事を何一つ覚えていない。
それどころか、村瀬さんも、そんな零くんに向かって「もう気にするな!」と言っていた。
一体なにが起こっているのか、朧は益々分からなくなってきた。
「……朧くん。零くんは、二重人格者なんだよ?」
「……えっ?」
そんなの……ありえない。
でも、いま自分の目の前で、野口さんの相棒に抱き合っている彼とさっきまで、自分を殺そうとしていた彼はどう見ても別人。
「朧くん。こいつの言ってることは本当だ! そして、さっきまで朧君。きみの目の前にいったのは、あいつのもう一つの人格で、名前はゼロ。本人格のゼロは違って、裏人格であるゼロは、零を護る為だけに生まれた人格。だからこそ、零のことを少しでも傷つけようとする人間には、相手が誰だろうと冷酷非道な男だよ」
「!?」
「斗真! 零くんは?」
「着替えに行かせた」
「あれ? 零くんってゼロに意識乗っ取られたあと、いつも意識失ってなかったけ?」
野口の素朴な疑問に、零を一人で、行かせた斗真の顔がドンドン青白くなる。
「!? 俺、ちょっとあいつの様子見てくる」
「いってらっしゃい」
そして、そんな斗真をニヤニヤしながら送り出す。
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