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「……あの?」
朧は、恐る恐る口を開く。
二人から醸し出される雰囲気が、野口がいなくなったあとから、また、狂気を帯びてきた。
「あぁ! すみません。話の途中に」
朧の声に、野口を見送っていた二人が同時に、朧の方を振り向く。
「いぇ。それより、野口さんは、大丈夫なんですか?」
「野口先輩の事なら心配いりませんよ? それより朧さんは、野口先輩と前から知り合いだったんですね? もう、野口先輩もそうならそうって教えてくればよかったのに?」
「……」
朧が知り合いだったのは、「便利屋ハチミツ」で働く、野口一。
でも…肝心の野口さんは…
『……朧くん! 君が、復讐なんてものに、目覚めなければ……君が、あの日恋人想いの心優しい君のままでいてくれたら……あの人が、君を欲しがることも……』
(瑞穂……僕は、間違ってないよね?)
野口さんは、自分とこんな形で君と再会したくないと言ってきた。
その顔は、本当に辛そうで、便利屋ハチミツで会った時の彼とは比べものにならないものだった。
だけど…野口さん。でも、僕は…
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