吾輩は¥である

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 翌朝、旦那の財布の中で共に出勤。  朝礼のあと、さっそく会社の営業車に乗り込んで出発した。  北関東の都市へは下道で行くと時間が掛かるので、高速道路を利用する事になっている。この時代はバブル絶頂期、景気も良いので会社から交通費もしっかりと支払われるのだ。  高速道路を走っていたら、旦那さんはどうにも催して来てしまったみたいで、それから一番最初のサービスエリアへ入ってお手洗いを済ませるみたいだった。  ついでに軽く休憩もしようと、缶珈琲を自販機で、売店ではアメリカンドッグを購入することにしたらしい。  この時、アメリカンドックの支払いに僕が使われ、旦那さんとはここでお別れして、サービスエリアのレジに収まった。  それからひっきりなしに客が支払いをしにきて、一緒にレジへ収まっていた他の小銭たちは、僕より後からレジに入ってきた小銭もふくめて次々とお釣りとしてレジを去っていく中、僕は偶然かどうかは知らないが、何故かお釣りとして使われることはなく残り続けた。  レジの小銭が殆ど入れ替わった数時間ほど経って、時間もいつのまにか夜になっていた。     
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