吾輩は¥である

6/271
前へ
/277ページ
次へ
 このままお釣りとして動かないままなのかな?とぼんやりとモノ思いに耽っていたら、唐突に長距離トラック運転手の男へお釣りとして渡された。  男の人は、サービスエリアにある独特のフード自販機でインスタントラーメンを購入すると、その場でズルズルと音を立ててラーメンを頬張り、奥さんが作ってくれたと思われるおにぎりにかぶりつき、手短に食事を済ませた。 「さて、腹ごなしも出来たし、いっちょ行きますか」  そう独りごとをいうと、大型車専用駐車スペースへ向かった。  そこに停めてある大型トラックの高い運転席に登り、イグニッションキーを捻ってエンジンを掛けた。  『キュルキュルキュル… ブルルルン』とトラックは激しい揺れと共に音をたて、まるで眠りから醒めたようにコンソール内の計器もランプが次々と光って、カーオーディオにセットされた八代亜紀の曲も架かり始めた。  運転手がシフトノブを操作してギアを入れる。駆動がタイヤまで伝わり、エンジン回転数が少し上がると、それに合わせたように大型トラックはゆっくりと動き出した。  アクセルを踏み込みながら次々とシフトアップして行く。速度を上げて合流車線で十分に速度を上げて、本線の流れを見つつ綺麗に合流した。     
/277ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加