だって、あの店は

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食べ終えて、風呂に入ってこれから寝ようとしてる時だった。部屋にある姉さんの写真に目がいった。 俺の姉さんは、二年前に他界している。 面倒見が良いせいか、常に自分の事より周りの事を気にしていた彼女は、今では写真の中でピースをしながら幸せそうに笑ってる。 姉さん、天国でも俺の誕生日祝ってくれているかな。……そう自然に思えるのは、昔俺の誕生日やそうでもない普通の日でも二人でよく行ったお気に入りの店があるからだ。 姉さんが中学生で、俺は小学生。 そこは、一見普通の喫茶店に見えるが中に入ればその雰囲気が一変する。 落ち着いた照明に、白を基調とした壁、木材はひのきだろうか?その独特の香りがまだ幼き日の俺らを優しく包み込んだ。……あぁ、店主さんは優しい人だったな。 人見知りで外では一言も話さなかった俺に、優しく話しかけてくれたっけな。 あの店、今もあるかな……明日帰りに行ってみるか。 何故ここまで覚えてるかと言うと、そこにはある思い出があるからだ。
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