3#店のおばちゃんの粋な計らい

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 くぅ~~~ん。  「ナポツー、何時ものトリマーのおばちゃんが応援しに来ないからふて腐れてるの?  しょうがないでしょ?おばちゃんはおばちゃんで忙しいの。  だって、他の客のわんこのトリーミングもしなきゃならないし。  あのトリーミング店は、あんただけじゃないものなのよ。」  パートナーは、私の連覇がかかっているこの大会を目標に頑張ってきたのに、全く元気の無い私に話し掛けた。  「ほら!次が出番よ!!早く立って!!」  くぅ~~~ん。  私は仕方無く、ゆっくりと腰を上げた。  「エントリーナンバー55番、大塚さんとナポツーのコンビ。」  ・・・はっ!!  私はアジリティのコースを上目使いに見たとたん柵の側にふと、おばちゃんの気配を感じた。  「ゴー!!」  パートナーは私に号令をかけた。  私は夢中で、ハードルを飛び越えた。  私は夢中で、平均台を渡った。  私は夢中で、Aフレームを駆け上がって降りた。  私は夢中で、トンネルを潜った。  私は夢中で、スラロームした。  「今、大塚さんとナポツーのコンビがゴールしました!!  タイムは・・・新記録!!大塚さんとナポツーのコンビがトップに躍り出ました!!」    私は気付けば、表彰台をパートナーと共に立っていた。  「ナポツー!!連覇よ!!連覇!!良かったねーー!!頑張ったねー!!ありがとう!!」  パートナーは、キョトンとする私を大喜びで撫で回した。  表彰が終わった後、柵に1個の風船が結んであったのを見付けた。    「あったあった!割れちゃったらどうしようと思った。」  パートナーは、柵から風船の紐をほどいて、私に見せた。  よく見ると、風船にはトリマーのおばちゃんの顔がマジックで書いてあった。  「これねえ、トリーミングショップのおばちゃんが「持っていって!」って渡してくれたの。  態々、おばちゃんが息で膨らませてね。  あんたの応援に行けない代わりに、ってね。」    おばちゃんの顔の風船の後ろには、ナポツーへのメッセージをマジックで書いてあった。  「ナポツーちゃんへ。  ワタシは他のわんちゃんへの応援しに行くために、ここへは来れません。  トリーミングしてきたわんちゃんが、災害救助犬の選考会に行く応援です。  この風船は、ワタシのカカシです。
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